【弔事】喪服は購入しておくべき?レンタルが避けられている理由とは
かつて「五つ紋黒喪服」は、結婚後の冠婚葬祭で着用する式服として、留袖や訪問着などの着物と同様に、嫁入り道具の一つとされていました。現代でも地域や家によっては、結婚の際に「娘に喪服を用意したい」と考える方や、結婚後に喪服の仕立てを検討する方が多いようです。レンタルという方法も増えてきている中、なぜ着物の喪服は購入が良いとされているのでしょうか。
黒喪服のレンタルが避けられる理由
まず、黒喪服のレンタル自体は非常識なことではありません。レンタルショップのほか、葬儀屋や呉服店などレンタルを行っているところはあります。肌着や足袋などは自前の場合が多いですが、その他の小物などは一式付いた形で、2万円前後で借りることができます。
しかし、一方で「他人の葬儀に使われた着物」でもあります。「家族や親類以外の不幸を持ち込む」という意味合いで、特に遺族・親族として葬儀に参列する場合はレンタルが避けられることが多いです。
また、レンタルの喪服の家紋には、家を問わず代用できる通紋の「五三の桐」を入れているため、家紋が五三の桐でない限りは、借り物だということもすぐに分かります。
このような忌避感は、人によって受け取り方が異なるため「自分が気にするかどうか」よりも、「嫁ぎ先の家でどのように思われるか」という点を考えた上で、レンタルを検討するのが安心です。
黒喪服は購入しておくべき?
「五つ紋黒喪服」は「正喪服」とされ、三親等までは着用します。また、親しい友人・知人の場合でも着用することがあるので、一式揃えておくと重宝するでしょう。価格帯は素材などによって異なりますが、おおよそ10万円前後で1セット、夏物と冬物をフルセットで用意するなら25万円前後が目安です。洋装に比べると金額は高くなりますが、冠婚葬祭は人付き合いや親戚付き合いの場でもあるため、“ちゃんとした着物を用意しておく”ということは、円満な人間関係を築くという意味でもプラスに働くことが大きいです。
購入のタイミングは?
喪服というと、不幸のイメージから準備をするタイミングに迷う方も多いですよね。しかし、注文してから仕立ててもらうのは、1~2ヵ月程度の時間がかかるため、いざという時にすぐ用意できるものでもありません。縁起を気にする方もいますが、一番良いのは、何もない時こそしっかりと準備をしておくことです。“誰かの具合が悪くなったから揃える”というのは、かえって縁起でもないとされます。中には、自身が結婚するタイミングや、あえて慶事に合わせて購入を考えるという方もいらっしゃいます。
喪服は、レンタルがNGというわけではありませんが、やはり大事なお別れの場ではきちんとした装いで参列することが供養する気持ちをあらわします。また、礼儀をわきまえることで、まわりに自分を理解してもらえることにもなるので、折を見て購入を検討してみるのもよいかもしれません。