【弔事】いざという時に知っておきたい。着物の喪服の正しい知識

着物で葬儀に参列することになった場合、そのルールやマナーをご存知でしょうか。喪服は、喪主や家族・友人といった「立場」や、通夜・告別式・法事といった「場面」によって、装いの格が異なります。いざその時になって焦ったり、失礼のないよう大人のマナーとして、喪服の正しい知識を知っておきましょう。

 

喪服の種類

和装の喪服には「黒喪服」と「色喪服」の2種類があります。
 

 ■黒喪服

羽二重(はぶたえ)や縮緬(ちりめん)といった光沢のない黒無地で仕立てた、染め抜き五つ紋付きの着物です。半襟・長襦袢・足袋は白を着用しますが、草履やその他の小物などはすべて黒で統一します。基本的には遺族や故人と血縁関係にある親族が着用するものですが、故人の親友や親しい知人も着る場合があります。(画像出典:https://www.instagram.com/p/Bhp1_ERjJym/

 

■色喪服

縮緬(ちりめん)など光沢のない色無地、または無地に近い小紋で仕立てた着物です。略装である準喪服にあたるので、紋を入れる場合は三つ紋か一つ紋にします。色はねずみ色や藤、藍など地味な色を用います。動植物などが描かれたものは、縁起が良いとされるので避けましょう。友人や知人の立場で弔問に訪れる際に着用します。(画像出典:https://www.instagram.com/p/BpWELMVlpOA/

 

帯の種類

喪服と合わせる帯にも「黒喪帯」と「色喪帯」の2種類があります。

■黒喪帯

「黒共帯」とも呼ばれる帯で、和装喪服の礼装として使われます。黒喪帯には、本紋・紗綾形紋・雲紋など、慶事でも使われている地紋が多いですが、図柄による格の違いはないため、模様の好みで選ぶ方が多いです。“不幸が重ならないように”と、二重太鼓ではなく一重太鼓に締めます。(画像出典:https://www.instagram.com/p/BkjqtpjB39w/

 

■色喪帯

「色共帯」とも呼ばれる帯で、和装喪服の略礼装として使われます。白やねずみ色、紫などの地色に、流水や蓮の花などが描かれたものや、経文など禅にちなんだ図柄のものがあります。(画像出典:https://www.instagram.com/p/BiF6-JEFr9A/


 

喪服の格式

喪服は着物と帯の組み合わせによって格が変わるため、立場や場面にふさわしい装いに気を付けましょう。

■喪服と帯の組み合わせ

①黒喪服+黒喪帯

不祝儀の第一礼装で、遺族や故人との関係が深い人物が着用する、最も格が高い装いです。「通夜・告別式・一周忌」の場面で着られますが、地域によっては3回忌までこの装いという場合もあります。(画像出典:https://www.instagram.com/p/BV-OK_QFits/

 

②黒喪服+色喪帯

友人や知人・同僚といった立場の弔問客が着用する礼装です。「通夜・告別式」の場面で着られますが、親族よりも格が上の装いをすることは失礼にあたるため、黒喪服の際は色喪帯でバランスを取るようにします。

 

③色喪服+黒喪帯

“黒喪服+色喪帯”と同様に、弔問客が着用する略礼装です。突然の不祝儀の知らせを受け“とりあえず用意した装いで弔問し、葬儀には改めて礼装で参列する”という意味合いから、「通夜」の場で着られることが多いです。また、故人と遠い関係である場合は、「告別式」で着用しても失礼にはあたりません。(画像出典:https://www.instagram.com/p/BbQO83zhjLi/

 

④色喪服+色喪帯

法事や偲ぶ会などで着られる略礼装です。“年月とともに悲しみを薄くする”という意味も込めて、黒ではなく薄い色の着物や帯を着用します。多くの地域で七回忌以降は、親族や友人・知人もこの装いになります。(画像出典:https://www.instagram.com/p/BlEx4o4l3wI/

 

故人を偲ぶ気持ちや遺族への心配りが何より大事ですが、最後のお別れの場だからこそ、装いにも気を遣いたいものです。自分の立場や場面にあったものを選べるよう、マナーとして身に付けておきましょう。