「結納」と「顔合わせ」では、着物の種類が変わる!?服装が違う理由とは

婚約をしたふたりが、結婚前に両家の親とともに行う「結納」「顔合わせ」の儀式。最近では、顔合わせのみ行うカップルが多いと言われていますが、具体的にこの2つの何が異なるのかご存知ですか?意外と知らない「結納」と「顔合わせ」の違いについて、説明します。

 

「結納」とは…

日本の伝統的な婚約の儀式が「結納」です。仲人を立て、両家が結納品や結納金などを贈り合うことで、正式に婚約が成立したことを証明する場となります。仲人は、親戚や職場の上司にお願いすることが多く、結納の3ヵ月前には依頼をするのがマナーです。

さらに、結納には2つの形式があります。

■正式結納

両家同士は顔を合わさず、仲人が男性・女性それぞれの家を行き来して結納品を届ける、昔から行われてきた結納の形式です。

■略式結納

両家と仲人が一つの場所に集まり、その場で結納品を納める形式です。昔は新婦である女性の家で行われていましたが、現在は、料亭やレストラン・専門式場で行われていることが多くなりました。また、近年では仲人への負担や準備の手間などから、仲人を立てずに行う略式結納の形式を選ぶカップルも増えています

 

「顔合わせ」とは…

ふたりがお互いの家族を紹介する場として設けるのが「顔合わせ」です。食事をしながら両家の親睦を深める場で、結納よりもカジュアルなものになります。結納と顔合わせを両方行う場合もありますが、顔合わせのみで済ませるケースが主流となってきています。式次第や決まった進行役がいるわけではないため、セレモニーの意味を持たせるために、ふたりからの挨拶や婚約指輪など記念品の披露や交換を行うことが多いようです。

 

「結納」と「顔合わせ」、服装は異なる?

結納が婚約を正式なものとする儀式であるのに対し、顔合わせは両家の交流を目的としたカジュアルな席となります。そのため、それぞれの場に合わせて、服装の格を考える必要が出てきます。

■正式結納の場合

儀式の意味合いが一番強いため、女性はもっとも格の高い、正礼装である「振袖」を着用します。この場合、男性も正礼装である「五つ紋付き羽織・袴」で格を揃えます。両家の親も、父親であれば「五つ紋付き羽織・袴」、母親であれば「黒留袖」または「五つ紋入りの色留袖」といった正礼装を着用しましょう。

■略式結納の場合

結納としては簡略化されたものとなるため、女性は「振袖」以外に、準礼装である「訪問着」でも大丈夫です。地域によっては、振袖が好まれることもあるので、事前に確認しておくと安心です。男性は「ブラックスーツ」「ダークスーツ」など、紋付き袴でなくても問題ありません。
両家の親も、父親は「ブラックスーツ」、母親は「訪問着」「付け下げ」「色無地」のほか、ワンピースなどの洋装もOKです。ただし、親の服装は両家で格を揃えるようにしましょう。どちらかが着物で、どちらかがワンピースとなると、和装である着物の方が格は高くなります。和装か洋装か、正礼装か準礼装か略礼装か、事前にふたりがそれぞれの両親の間に入って調整するようにしましょう。

■顔合わせの場合

かしこまった場ではないため、服装の自由度は高まります。女性は、ワンピースやきちんと感のあるスーツといった洋装でも大丈夫ですが、せっかくのおめでたい席ということもあり、「振袖」「色留袖」などの着物姿を選んでも良いでしょう。ただし和装の中でも、特に「振袖」は未婚女性の第一礼装にあたるため、男性や両家両親の服装がスーツやワンピースの場合、女性がひとりだけ格の高い装いとなります。親の中でも“振袖は場が華やかになって良い”という意見もあれば“ひとりだけ格が高いと堅苦しい”という意見もあり、捉え方は様々です。事前に参加する両親と相談しながら検討するようにしましょう。

 

「結納」「顔合わせ」それぞれの意味を理解した上で、“参加者の服装の格に配慮する”ということを意識すれば、どのシーンでも振袖を着用することはできます。未婚女性の第一礼装として、振袖の着納めをするのも素敵な思い出になるので、迷っている方はぜひ相手や両親と相談してみてはいかがでしょうか。