フォーマルの場にふさわしい着物って?知っておきたいルールとは
着物を着るうえでTPOは非常に大切なものです。特にフォーマルな場では、「礼装」「準礼装」「略礼装」の3種類の着物を場の格によって使い分けます。ふさわしい種類の着物を選ばないと、マナー違反となる可能性も…。
この記事では、安心して出かけられるよう、フォーマル着物について詳しくご紹介します。
礼装
フォーマル着物のなかでも最上位にあたり、冠婚葬祭などの改まった場に着ます。黒留袖、色留袖、黒喪服などが該当します。
■黒留袖
最も格の高い着物で、既婚女性の第一礼装です。主な登場場面は結婚式。新郎新婦の母親や仲人夫人が着用し、ゲストへの敬意と感謝を装いで表します。
地色が黒の五つ紋が入った着物で、裾部分にのみ縁起のよい模様が入っています。帯は礼装用の袋帯を合わせ、帯揚げや帯締めは地色が白のものにしましょう。
■色留袖
地色が黒以外の留袖のことを色留袖と呼びます。未婚・既婚を問わず着用でき、礼装だけでなく準礼装としても活躍します。紋が五つ紋だと礼装、三つ紋や一つ紋だと準礼装の扱いになります。
上半身には柄が入っていないのが特徴。ソフトな印象のピンクやブルーなど、女性らしい色の華やかな着物が多く、結婚式などのお祝いの場にはぴったりです。帯は金地や銀地などの袋帯を合わせます。
■黒喪服
弔事の第一礼装で、葬式や告別式の際、喪主や故人の親族が着用します。真っ黒な地の着物には五つ紋が入っており、帯は黒無地の袋帯か名古屋帯を合わせます。
準礼装
礼装に次ぐ格を持つフォーマル着物で、披露宴やパーティー、入学式や卒業式などに着用されます。訪問着、色無地、紋を入れた江戸小紋などが該当します。
■訪問着
友人や知人、親戚の結婚式などのお祝い事から歌舞伎をはじめとする観劇まで、幅広く着用できます。
色留袖とよく似ていますが、肩の部分から裾にかけて柄が入っているのが特徴。未婚・既婚は問いません。
■色無地
黒以外の一色で染めた柄のない着物です。紋が入っていれば準礼装、入っていなければ略礼装になります。控えめな印象なので、さまざまなシチュエーションに馴染みやすいです。
■色喪服
通夜や法事、偲ぶ会などで着用。一つ紋または三つ紋が入った光沢のない寒色系の色無地の着物です。ピンクやオレンジなどの華やかな色やおめでたい柄のものは、色喪服ではNGです。
略礼装
かしこまらない雰囲気の結婚式やパーティーに適した、洋服でいうところのおしゃれ着の着物。江戸小紋、付け下げ、小紋などをさします。ただし、紋や小物などの組み合わせにより、準礼装扱いになる着物もあります。
■江戸小紋
遠目に見ると無地の着物に見える江戸小紋。よく見ると細かな模様が、着物全体にほどこされています。通常は略礼装ですが、江戸小紋三役や大名家の留柄など、格の高い柄の着物は、紋を入れて礼装用の帯を合わせると準礼装となります。
■付け下げ
着た時に模様がすべて上を向くように柄が描かれた着物で、戦時中に訪問着を簡略化したものとして生まれた着物です。一つ紋を入れると準礼装になります。年始の挨拶のときなどによく着用されます。
■小紋
着物全体に柄が散りばめられている着物で、型染めという技法で柄がつけられています。柄や色、帯や小物とのコーディネート次第で、普段着としてもおしゃれ着としても使え、観劇やお茶会などにぴったりです。
フォーマル着物は慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、しっかり基本をおさえれば心配はいりません。TPOに合わせた装いで、マナー美人を目指しましょう。