着物と浴衣って何が違うの? 着用のシーンは?

「着物」と広く言い表したとき、そのなかには浴衣も含まれていることがあります。たしかに形は同じだし、どちらも日本文化特有の装いです。

しかし、「着物」と「浴衣」はまったくの別物。今回はそれぞれの用途や着方についてご紹介します。

 

それぞれの種類と用途

■種類

着物にはさまざまな種類があります。まず仕立て方が2種類あり、裏地をつけた「袷」と裏地をつけない「単衣」。

単衣仕立ての着物には、袷にも仕立てられる生地で仕立てたものと、「絽」「紗」など涼しく着るために織られた「夏物」があります。こちらはふつう袷には仕立てません。

また、着物には着用の用途に合わせてフォーマル着物とカジュアル着物があります。フォーマルの代表は振袖・留袖・訪問着など。カジュアルの代表は小紋・紬などです。

一方、浴衣は涼しく着るものですので単衣仕立てのみ。フォーマルな浴衣というものはなく、すべてカジュアル着です。

 

■用途

前述したように、着物はフォーマル・カジュアルの2種類に大別できます。

結婚式や入学式などではフォーマル着物を、お友達とのおでかけで着るならカジュアル着物を、というように、用途によって着分けます。帯も用途によって選びます。

一方で浴衣の用途は限られており、基本的には夏の夜に着用するもの。帯は半幅帯か兵児帯を締めます。

ただし現代では「お祭り用」という認識が高いので、お祭りシーズンでは昼間でも浴衣でおでかけする人がたくさんいます。

 

着付けは何が違う?

着付けの仕方に着物と浴衣の違いはありません。人から見て右側の前身頃が上に来るようにしますし、着方の手順も同じです。

大きな違いは、下着。

着物の場合は肌襦袢・裾除けの上に長襦袢を着て、その上に着物を着ます。足袋は必ず履きます。草履でも下駄でもTPOに合わせてあればどちらを履いてもOK。

浴衣の場合、肌襦袢・裾除け(もしくは浴衣用のスリップ)の上に直接浴衣を着ます。足袋は履かずに、素足で下駄を履きます。

浴衣は、もともとは湯あみの際や湯上りに着たものなので、「涼しく着る部屋着」と考えるとわかりやすいと思います。

 

浴衣は着物の代わりになる?

浴衣の素材は木綿ですから、物によっては長襦袢を着用して単衣の木綿着物のように着ることもできます。その場合は足元も足袋を履き、カジュアル着物と同様に扱います。

また、しぼりや絽などの高級浴衣に関しては、浴衣と名前がついていても夏着物として着る人も多いようです。

ちなみに、浴衣は着物のように着られても、着物は浴衣のように長襦袢なしでは着られません。

 

まとめ

「着物」と「浴衣」の違いは、比べてみると一目瞭然。ごく簡単に表すと「着物は種類・用途がいろいろある」「浴衣は夏限定の超カジュアル着」といえるでしょう。