着物の伝統的染色「三大友禅」の魅力と特徴とは

日本古来の伝統的な着物の染色方法として「友禅」があります。

「友禅染め」というのは聞いたことがある方も多いと思いますが、一概に友禅と言っても育まれた土地や技法によって様々な名前が付けられているのをご存知でしょうか?

今回は「日本三大友禅」とも称される京友禅・加賀友禅・江戸友禅の魅力について簡単にご紹介していきます。

 

京友禅

・豪華絢爛
・金糸、金箔・銀箔の多用
・内側が濃く、外側が薄いぼかし手法

(参考URL: https://www.kyotokimonoyuzen.co.jp/smt/traditional5.html

「京友禅」とは、京都において宮崎友禅斎により誕生した友禅です。

貴族文化を背景とし、高貴な身分の人々から好かれていたことから、三代友禅のなかで最も豪華絢爛であることが大きな特徴で、金糸を用いた刺繍や金箔・銀箔が多く使われます。

また「ぼかし」という手法が用いられており、花や葉などの模様は内側を濃く、外側をだんだんと薄くぼかして描かれています。

 

加賀友禅

・落ち着いた色合い
・金糸や金箔、銀箔は使用しない
・外側が濃く、内側が薄いぼかし手法

(参考URL:http://www.kagayuzen-monogatari.jp/products/list

「加賀友禅」も京友禅と同じく宮崎友禅斎によって基礎が作られた友禅ですが、石川県金沢市の地で独自の発展を遂げていきました。

武士文化を背景としている友禅であるため、京友禅のような豪華さや華やかさは抑えられ、金糸や金箔・銀箔も使用されません。

「ぼかし」の手法は加賀友禅でも多く用いられていますが、京友禅のぼかし手法とは逆に、内側を薄く、外側をだんだんと濃くぼかして描かれています。

また、加賀友禅の大きな特徴として「虫食い」の描写をあげることができます。

花や葉の美しい様子だけではなく、葉の虫食いにいたるまで細かく写実的に描かれることが多いです。

 

江戸友禅

・暮らしぶりのわかる道具、風景模様
・さっぱりとした色合い
・江戸っ子のお洒落着物

(参考URL:http://edo-yuzen.tokyo/wp/wp-content/uploads/2016/01/conv2029.jpg

「江戸友禅」もその名の通り、江戸(東京)で発達した友禅のことです。

江戸の町人文化を背景としているため、釣り船や網干しなど町人の暮らしに用いられる道具や風景などが描かれることが多いのが特徴と言えます。

江戸友禅が発達した当時、江戸には「奢侈禁止令(しゃしきんしれい)」という贅沢なものを禁止して倹約を勧める法令が出されていました。

そのため落ち着いた色であることが多いながらも、江戸っ子が密かにお洒落を楽しんでいたことが感じられるものが多いです。

 

今回は「日本三大友禅」の特徴と魅力をお話ししてきました。

多くの職人さんの真心と技術が集約してつくりあげられる友禅は、どの種類もそれぞれ異なる魅力があります。

どの友禅が好みか、ぜひお気に入りのものを見つけてみてくださいね。