初めて能を観るならこれ!おすすめの演目を3曲ご紹介

 

美しい装束と能面、洗練された動き、独特の謡やお囃子…。

能は日本の伝統芸能のなかでも、特に世界的に高い評価を受けています。

 能の鑑賞は、和の雰囲気をとことん楽しめるので、着物でお出かけするのにもぴったり。

 

ですが、「なんだか難しそう」「観に行くにはハードルが高い」という方も多いのではないでしょうか?

この記事では、初心者でも楽しく観られる演目を3つご紹介します。

 

葵の上

(せんぐう館さん)

 (出典:https://www.instagram.com/p/BXIV6plB9Xh/)

『源氏物語』の「葵」巻をモチーフにした作品。

六条御息所が、源氏への募る思いから生霊となって、葵上を殺そうとする様子を描いています。

主役であるシテは六条御息所で、葵の上は一枚の小袖で表現され、実際には登場しません。

 

人気のある『源氏物語』を取り扱っていて、「嫉妬からとり殺す」というストーリーも分かりやすく、

初心者にも楽しめる作品です。

また、その深いテーマ性と面白さから、「この曲が一番好き」という能楽ファンが多い演目でもあります。

 

美しい謡と詞章、六条御息所とそれを抑えようとする山伏の迫力ある攻防と見どころたっぷり。

恐ろしい生霊となりながらも、女性としての悲しみと元皇太子妃としての品格を漂わせる六条御息所の姿に、心を動かされること間違いなしです。

 

土蜘蛛

momocchist

 

(出典:https://www.instagram.com/p/B3cPd1DAbHC/)

「能に興味があるけど、理解できるか心配」という人には、ド派手な演目として知られる『土蜘蛛』をおすすめします。

スピード感たっぷりの展開に、知識ゼロでも思わず夢中に!

 

源頼光に仕えている胡蝶という女性が、重病の頼光のもとに薬を持って訪ねます。

弱気な頼光を胡蝶が励ましますが、その夜、僧の格好をした怪しい者が、頼光を襲撃し、蜘蛛の糸を投げかけます。

頼光はなんとか名刀・膝丸を抜いて撃退し、頼光のもとに駆け付けた独武者は、従者を連れて、頼光を襲った化け物・土蜘蛛を退治に出かけるのですが…。

 

蜘蛛の糸が飛び交う演出が人気の演目。

襲い掛かる蜘蛛の糸を、刀で薙ぎ払うさまは迫力満点です!

 鬼退治のようなシンプルなストーリーとチャンバラのようなスリルで、大人から子どもまでわくわく見られます。

 

船弁慶

(suigian)

(出典:https://www.instagram.com/p/Bq2D5W0g2Do/)

 

『平家物語』などの古典文学を題材とした能で、能の優美さと激しさ、どちらも味わえる演目です。

義経や弁慶、静御前といった誰もが知るメンバーがそろい踏みなので、

歴史好きの方には、この演目がイチオシです!

 

平家を破った源義経は、静御前や弁慶などともに西国へと逃れようとします。

しかし、女性の身では旅が難しいことから、静御前は旅の途中で別れの舞を披露し、

涙ながらに都へと戻ります。

静御前と別れた後、船で海に出た義経一行は、壇ノ浦で滅亡した平家一門の亡霊に襲われます。

なかでも、総大将であった平知盛の怨霊は、一門の恨みを晴らすべく、薙刀で激しく義経を攻撃。

弁慶は必死に祈り、知盛の亡霊を鎮めようとします。

 

前半は白拍子である静御前の美しい舞、後半は薙刀をふりかざす知盛と数珠をもんで祈りを捧げる弁慶の対決が見どころです。

 

謡や動きの緩急など、場面によってガラッと雰囲気が変わるので、見ていて全く飽きません。

また、義経は子どもが演じるのですが、可愛らしい声の謡にほっこり。

能の魅力をギュッと一つに凝縮したような演目です。

 

ご紹介した演目は、どれも人気が高く、上演機会が多いものです。

能を観てみたい方はまずはこの3つからチェックしてみてください。